「工場の数日間が数分で分かる」
生産ラインシミュレーションの妙。

System / Software /
Circuit Design Technology Development

Atsushi Torigoe

鳥越 淳史

システム・ソフトウェア・回路設計技術開発
2014年度入社/経営システム工学専攻

コンピュータの中に
四日市工場をつくって動かす。

当社の四日市工場では24時間365日、100を超える機種数千台の装置が稼働して、フラッシュメモリを量産しています。それも、ベルトコンベアラインのような一連の工程ではなく、「装置がそれぞれの役割を果たすよう個別に動作させながら、全体を有機的に統合して生産を制御する」複雑で高度な自動生産システムが導入されています。
同時に工場では、装置の更新や構成・工程の変更などの取り組みを通して、生産性や品質の向上を図っています。しかし、例えばある装置を新しくしたいとき、効果や全体への影響を事前にどう検証したらいいと思いますか?もちろん実機をラインに組み込んでテストすればリアルに分かりますが、費用や手間や時間を考えると現実的とは言えません。

そこで生産技術部の私たちのチームが、四日市工場の生産ラインをコンピュータ内に模擬し、工場の動きを高速で再現して検討する「生産ラインシミュレーション」を推進しているのです。ざっくりまとめると「24時間稼働の工場の数日間の動きを数分で再現できる」ため、新しい装置を入れたら、生産計画や製品の流れを変更したら等々、工場からの要請に応じてシミュレーションを実行。結果やリスクを予測・分析しフィードバックして、生産の最適化に役立てています。

岩手県の北上新工場ができあがる前に
机上で生産を立ち上げて、妥当性を確認。

私は入社4年目の2017年6月に現在のチームに異動。約1年間、生産ラインシミュレーションで当社第一人者の上司に指導を仰ぎ、簡易版のシミュレータをつくって仕組みを理解するとともに、生産ラインを再現して結果の見方や活用の仕方を学びました。土台を固めて、さあこれからと張り切っていた矢先、上司が突然、より高度な観点からスマートファクトリー化を進める部署に異動になり、私にチームリーダーの大役が任されたのです。
ターゲットは、当時まだ建設中だった北上新工場。2019年に予定されていた稼働開始に向けて、生産ラインの能力試算を行い、生産計画の妥当性を検討する案件でした。四日市工場とは規模や構成が異なるため、何かリスクが隠れていないか、机上の生産が実際にできるか、できあがっていない工場をコンピュータの中で完成させて動かすべく、全力を注ぎました。シミュレーションだからこそ可能なアプローチだけに、結果を導き出して北上工場の立ち上げに寄与できたと実感した時の達成感は、それまででいちばんでした。

メモリ生産ラインの最適なあり方を
どこまでも追究し続ける毎日。

当社では、四日市工場の生産データを常時、自動的に収集・蓄積する環境をいち早く整えており、機械学習などAIの導入でも先んじています。生産ラインシミュレーションは、精度の高いビッグデータを入手できてこそ真価を発揮する技術だけに、非常に恵まれた環境だと思っています。
とはいえ、異なる役割を持った多数の製造装置がそれぞれ仕事をしているのを統合した工場だけに、一台一台の最適化と全体の最適化の両立が求められます。生産量も桁違いに多いため、例えば搬送ロボットの走らせ方ひとつで収益に年間数億円の差が出るくらい、私たちの取り組みは生産量や品質、収益に大きく影響します。なにより、微細化や積層化が進み続ける半導体製品の生産ラインは常に変化しているので、どこまで追いかけてもキリがありません。
難しくて終わりのない仕事なのですが、そこにこそ面白さがあると、私は確信しています。終わりのないチャレンジの中に、いつか終わりと言えるような仕組みをつくれたらと夢を抱きつつ、絶えずより良いあり方を究め続けていく毎日だからです。それに生産ラインシミュレーションは発展途上の技術なので、目の前にはフロンティアが広がっています。私たちは、半導体製造の最前線の現場に最先端の技術を適用しながら、未踏の道を開いていけるのです。
生産技術というと、機械やシステムの単なる保守をイメージする方もいると思いますが、キオクシアでは違います。生産量と収益の最大化を目指して、製造の仕組みの最適化を図り、メーカーのものづくりを牽引する使命を担っているのです。言ってみれば「攻めの生産技術」であり、アグレッシブで楽しいと感じています。

私が当社を選んだ理由

工場の最適化に興味があり、メーカーに的を絞って就職活動を進めるなか、当社の四日市工場を見学したところ、「決まったレールの上に製品を流す、ベルトコンベア型の自動化ライン」とはまるで異なる「自動生産の仕組み」を目の当たりにして、新鮮な衝撃を受けました。そして「最適化に力を入れている」と聞き、経営システム工学の専攻を活かして、この複雑で高度な生産システムに関わってみたいと入社を志望しました。

学生のみなさんへ

正直、私は今でも半導体にものすごく詳しいというわけではありません。というより、半導体に詳しい人ばかりの会社では、思いがけない発想は生まれにくい。知らないからこそ出てくる発想や疑問から生まれるアイデアが大事だと思っています。みなさんもどうか「半導体メーカー」という枠にとらわれないでください。専攻や思考の多様性からイノベーションが生まれると考えている会社ですから、いろいろな背景を持った人に来てほしいと期待しています。



掲載日/2020年〇月〇日 ※所属・役職・仕事内容は掲載当時のものです。

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