自分のアイデアの
量産適用を目指して

Process /
Package technology development

Yuta Saito

齋藤 雄太

プロセス・パッケージ技術開発
2016年度入社/結晶材料学専攻修士了

入社してすぐに、次世代のメモリを
開発する大型プロジェクトに参画。

私が所属しているメモリ技術研究所は、キオクシアのR&Dの川上を担っている研究機関です。入社して強く実感したのは、大学・大学院での研究活動の延長線上に近い立場で動けること。企業のラボなので、期間やコスト、生産性や収益等の制約はあるものの、一定の枠組みさえ守っていれば、かなり自由度の高い研究開発に専念できます。しかも私の場合はタイミングにも恵まれ、入社してすぐに、次世代メモリを開発するビッグプロジェクトの一員にアサインされました。

担当したのはメモリを駆動するトランジスタ周りの性能向上で、全体のなかでは小さなパートでしたが、『1年ほどの期間内にいろいろトライアルして、どこまで性能を出せるか』という新人の私にはぴったりのテーマ。性格的にガツガツやるほうなので、上司に紹介してもらって他部署のエキスパートに聞きに行ったり、自分なりに仮説を立てて実験・検証したり、今から思うと必死過ぎるくらい集中して打ち込みました。
結果的に想定以上の性能を出せたのですが、それ以上に、自分から積極的に聞いて回ったのがとてもいい勉強になり、実践的なR&Dのスキルが身についたのが大きな収穫でした。

5年先10年先を見渡した開発

プロセス技術研究開発センターでは、研究者がそれぞれ、1)モノになりそうなアイテムを模索して発信、2)ゴーサインが出たら、最初は一人で試作・検証して開発、3)実現性が高いと認められたら、チームを編成して量産化を図るのというのが、基本的な流れです。2年目の半ばに最初のプロジェクトが終了した後、私も次に何に取り組むかについて、上司の先導のもと、まずは広く浅く、5年先10年先に当たりそうなアイテムを探索しました。
会社の将来を見据えたアプローチだけに、実現可能性がありつつ、大幅な性能向上や競合にはない技術を考える必要があり、企業で研究開発を仕事にすることの大変さを痛感しました。幸い、トライアル&エラーを繰り返すうちに、3次元フラッシュメモリBiCS-FLASH™のチャネル向け新規プロセスのアイデアを発想しました。

シリコンの物理限界(理想的な物性値)に
どこまで迫れるか、ワクワク、ドキドキ。

端的に説明すると、メモリのチャネルは電子を流す通路で、電気抵抗が低ければ低いほど消費電力が下がり、動作効率の向上=省エネにつながります。材質はシリコンですから、単純化して言うと、シリコンの電気抵抗を最小化する理想的な物性値=基礎研究の理論上での物理限界をターゲットに、どこまで現実的な量産のレベルで迫れるか。熱のかけ方とか、結晶化のさせ方とか、プロセス技術の創意工夫によって、物質の面からメモリの性能を高めるチャレンジです。

研究室での試作品の段階はクリアできたので、現在はより量産に近いところで試作と検証を行っているのですが、正直、ひとつ壁を越えると、またひとつ新たな壁にぶつかるといった感じで試行錯誤を繰り返しています。狙いどおりうまくいくというワクワク感と、本当にハードルを越えられるのかというドキドキ感と、両方が入り交じった感情を抱きながら、『ここまで来たのだから、何とかモノにしよう』とメンバーと力を合わせて立ち向かっているところです。
私のアイデアが量産品まで適用されて世界の市場に出るまで、もう一歩。その日まできっと、ワクワク、ドキドキの毎日が続いていくことでしょう。

私が当社を選んだ理由

研究活動が好きだったので、博士課程に進んで基礎研究に続ける道も考えたのですが、ものづくりに直結した研究開発のほうが世の中に自分の考えを広く発信できると思って、企業のエンジニアを選びました。金属の結晶材料学を専攻していたので、バックグラウンドが共通する材料系の分野を見ていて出会ったのが当社です。半導体は情報化社会になくてはならないアイテムだけに、大勢の人に使われて役立てるR&Dができる。シンプルに面白そうだと感じて応募しました。

学生のみなさんへ

メモリは5G/AI/IoT/eスポーツ/VR/AR/ロボティクスなど、旬のキーワードと深く関わって、テクノロジーと社会の進化を支えています。メモリ自体、2次元での微細化から3次元の積層化へ、さらにストレージクラスメモリへ、ムーアの法則を越えて発展を続けています。今後も可能性は広がり、すごく未来のある製品と言えるでしょう。同時に、メモリ技術研究所には、さまざまな専攻の出身者が集まっています。半導体の知識は必要ありません。大学・大学院での研究活動をベースに、自分で考え、積極的に動いてR&Dに励みたい人に向いている部門です。



掲載日/2020年3月31日 ※所属・役職・仕事内容は掲載当時のものです。

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