やりたいと思って、
自発的に機械学習を勉強。
今では工場へのAI導入を
先頭に立って推進中。

System / Software /
Circuit Design Technology Development

Masamichi Kishimoto

岸本 真迪

システム・ソフトウェア・回路設計技術開発
2008年度入社/バイオロボティクス専攻

四日市工場に、初めて
AI/機械学習のシステムを導入

2017年4月、私はプロジェクトリーダーとして、AI(機械学習)を適用した生産システムを立ち上げました。これは、四日市工場初の画期的な取り組みです。「東芝メモリ(当時)がいち早くAIを導入し、革新的な生産システムを構築していること」を広く社会にアピールするべく、社長直々の命を受けて推進したプロジェクトでした。
アサインされたのは、研究開発センター、生産技術部、IT部門等の気鋭のメンバーたちです。スタートは2016年の秋。ハードウェアの選定からソフトウェアの設計、リリース・運用・検証まで、全員が全力を注いで半年ほどの期間でやり遂げました。

具体的にはこのようなシステムになります。四日市工場では以前から、製造装置に異常が発生した場合、メールで報せる仕組みが稼働。メールを受信した技術者が、すぐに対応すべき問題かどうか、その都度判断していました。しかし、このような仕組みではムダな時間や手間を要するケースが多くなりがちです。そこで私たちは、これに機械学習を適用。システムが自動的に重要度を判定・分類し、必要に応じてアラームを出す形に進化させました。
もうひとつの事例は、ウエハー上に形成されたチップの良品・不良品のカテゴライズです。たとえば、半導体の生産プロセスでは、ウエハーの外側に円周状に不良が発生する、あるいは特定の部分に不良が偏るといった問題が起こります。これも機械学習により、不良が発生するプロセスやウエハーの箇所を自動的に分類して提示。技術者のスピーディな原因究明・問題解決を支援し、生産性の向上に役立つAIを活用したシステムを実現したのです。
この取り組みは、「2016年度人工知能学会 現場イノベーション賞・金賞」を授賞しました。

始まりは、
AI好きな仲間と水面下で探究した活動から

入社後、リソグラフィや生産コントロールをはじめとする工場の生産システム開発に携わるなかで、私は話題を集めつつあったAIに着目。個人的に水面下で機械学習の勉強を始めました。そのうち自然発生的に、部門を超えたAI仲間のネットワークが生まれ、共同で研究したり、情報を発信したりするようになりました。それが上司を経由し、会社としてAIの導入を考えていたトップの目に止まり、プロジェクトリーダーに登用されたのです。

自分がやりたいと思って、好きな仲間たちと探究していた技術を、会社の重要なプロジェクトに展開できる。これは、願ってもないチャンスでした。「社会が注目している」、「会社のイメージアップにつながる」プロジェクトだけに、モチベーションも高まります。なにより、機械学習のシステムを実際の生産プロセスに導入・運用することは、当社では誰も挑んだことがないのです。だからこそ、自ら働きかけて関連部署を巻き込み、現場の同意が得られるソリューションを創出しなければなりません。難関だらけの毎日でしたが、乗り越える面白さを味わう時もまた多くありました。達成できた時の喜びも大きかったですね。

四日市工場の全自動化と
見える化を目指して

今回のプロジェクトは、もともとは私たちのボトムアップの活動が契機でした。日常の業務でも、チームで考えて上長に提言したテーマが認められるケースが多く、ボトムアップで自分たちのやりたいことに打ち込める環境だと実感しています。また、私が水面下でAIの勉強を始めたように、担当の業務をしっかり進めていれば、個人の采配に任せてもらえるので、自由度も高いと思います。もちろん成果は求められますが、それは仕事なので当たり前。現在は、工場の全自動化と見える化を目標に、機械学習を活用して生産システムを改善するためのコンサルティングおよびシステム開発のマネージメントを手がけています。

工場の業務を大きく分けると、調査/解析/判断/実行/監視となります。現状、特に調査や解析では、人の判断が不可欠。これらの業務についても、ゆくゆくはビッグデータ×ディープラーニングで効率化・自動化を実現したいです。より速く、的確な判断と実行につなげ、生産性改善のサイクルを加速したいと考えています。こうして、自分自身の志向を会社の方向性と重ねあわせながらキャリアアップしていけるのも、当社ならではの魅力だと思います。

私が当社を選んだ理由

社会への影響力が大きい仕事に就きたいと希望していたからです。大学院でも研究に必要なデバイスをつくるのに半導体を使っていたし、半導体は世界の技術を支える基盤であることが、入社の決め手でした。

学生のみなさんへ

私もそうでしたが、就職活動では企業のネームバリューやブランドに目を奪われがちです。でも、入社後の実感は違っていました。私が半導体ビジネスの中でIT系の業務に携わっているように、実際に企業が求めている人材は多岐にわたります。言い換えれば、自分がやれることも多岐にわたるわけで、知名度やブランドにとらわれず、事業や業務を広く見ていくほうがいいと思います。



掲載日/2018年3月1日 ※所属・役職・仕事内容は掲載当時のものです

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