分析技術の研究者かつコンサルタントとして
技術と向き合い、人と向き合い、内外を動き回る。

Customer Response Technology /
Evaluation Analysis Technology Development

Machiko Ito

伊藤 真知子

顧客技術対応・評価解析技術開発
2009年度入社/材料化学専攻博士(理学)

化学の眼で、メモリ材料の未知を探り、
プロセスやデバイスの開発に役立てる。

2016年4月から、私は四日市工場のメモリ技術研究所・プロセス技術研究開発センターに所属しています。錯体化学の研究で博士号を取得して入社した後、液晶や半導体の材料開発業務で得た知見を活かして、メモリ材料の評価解析技術を担当しています。
評価解析技術と「技術」が付いている点に注目してください。研究所の業務ですから、機器を操作して依頼された試料を調べる分析とは大きく異なります。特に私の場合、メモリデバイスや製造プロセスの開発エンジニアから相談を受けて、例えば『新しい材料について、界面と内部で特性に差はあるか? デバイス製造工程の当初と途中と最後で、特性がどう変化していくのか?』といった問題に応える分析解析コンサルティングがメイン。これまで使われたことのない材料も多いため、未知の現象・原理を化学の眼で解き明かすべく、新たな分析技術の探索・開発にも挑戦しています。

デバイスの微細化や積層化が進むほど、『材料内部での原子や分子の結合状態を調べたい』『3次元フラッシュメモリの100層以上の薄膜、一層一層の特性を知りたい』など、評価解析へのニーズは微に入り細にわたりますし、コンサルティングの結果は次世代製品の成否にまでつながっています。要するに、最先端の技術や材料と向き合うのはもちろん、多分野のエンジニアとも向き合いながら、メモリデバイスや製造プロセスの開発を支援していく研究開発職なのです。キオクシアならではの化学エンジニアの活躍フィールドだと言ってまちがいないでしょう。

自席に腰を落ち着けてしまわずに、
工場、国内、海外を横断して活動。

「失敗するリスクを恐れて手を貸してくれないクールな人と、下手でも何とかしようと汗をかいてくれる愚直な人と、どちらが頼りになるでしょう?」
今のチームに異動してきた時に、直属の上司に問いかけられた言葉です。以来、後者のスタイルこそ自分のコンサルティング業務・分析技術開発の基本だと肝に銘じて行動してきました。

そのために心がけているのが、自分から積極的に関係する方々のところに足を運び、対話を通して知識や情報を吸収する姿勢です。コンサルティングを依頼されるデバイスやプロセスのエンジニアとは、毎日のように顔を合わせて現場のニーズや課題をヒアリングしていますし、必要に応じて社内のエキスパートに質問に行ったりもします。世界最先端の分析装置を特注で利用しているので、導入の技術審査で国内外に出張することもあり、海外で開かれるグローバル分析ミーティングや国際学会にも定期的に参加しています。(今は新型コロナの関係でリモートが主体ですが)自席に居るよりも工場・社内・社外を動き回り、なるべく多くの人と対話しながら業務を進めるように努めています。自然に視野が広がりますし、顔も覚えていただけるので、このスタイルを貫いていこうと考えています。

私のように幅広くもできるし、
専門性を深く究める道もある。

部署ではメンバー一人ひとりが、若手の時からスペシャリストの役割を担っています。多岐にわたる評価解析技術を少数精鋭で分担する必要があるため、分野ごとに一人か二人、専任の担当が割り振られ、その技術の専門家として活動します。コンサルティング担当の私は幅広い分野に取り組んでいますが、例えば電子顕微鏡技術の担当なら、どんな電子を当てれば、材料にダメージを与えずに計測限界に迫れるかといったレベルまで、深く専門を掘り下げることができます。
入社後のキャリアについても、最初に数年、配属先でメンターについて基礎を固めれば、その後は『自分が何をしたいか。どう成長したいか』を上司と相談しながら、キャリアプランを作ることができます。半導体というと電気・電子系の分野に閉じるイメージかもしれませんが、実は原子・分子レベルの評価解析に基づいて現象を捉えるアプローチも大事なのです。化学や物理の知見が求められているわけで、理学系の素養を持つ人材への期待は大きく、チャンスは十分。ぜひ化学系・物理系の後輩のみなさんと、キオクシアの評価解析技術を発展させていきたいと楽しみにしています。

ちなみに、私はいま小学生の娘の母親として、子どもが小学校6年まで使える短時間勤務制度と、新型コロナ対策の前から子育て中の親向けに用意されていた在宅勤務制度を利用して、仕事と家庭を両立させています。ワークライフバランスの面での満足度が高いのも、当社の魅力だと思います。

私が当社を選んだ理由

就職活動の際、残念なことに『博士課程卒の女子学生は採用実績がない』『企業の研究開発には向かないのでは』と言われるところが少なくないなか、当社は色眼鏡で見たりせず、研究の内容や進め方に真摯に耳を傾けてもらえました。ジョブマッチングだけでなく、目的へのアプローチ方法まで見てもらえたのも嬉しかったですね。

学生のみなさんへ

半導体の知識は入社後でも身につけられます。研究開発では、発想のセンスや課題解決に地道に取り組む姿勢が、専門知識と同じくらい重要です。学生生活では、目標達成への筋道や取り組み方を意識して勉強を進めてください。同時に、論文やゼミ・学会での発表を通して、「伝える力」を養いましょう。自分の学びや研究の仕方をきちんと伝えることが、きっと就職活動のいい結果につながりますよ。



掲載日/2021年2月 ※所属・役職・仕事内容は掲載当時のものです。

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