気がつけば26年。入社から今日まで、
知財業務一筋で専門性を極めてきました。

  • 管理職
  • メンバー15名
  • 知財のエキスパート
  • 電子物性工学専攻修士了
  • 毎週木曜は弓道の日

Group Manager
Intellectual Property Division
Keiko Uchida

内田 恵子
知的財産渉外法務担当グループ長
1994年度入社/電子物性工学専攻修士了

就職活動で初めて耳にするまでは
「知財」という言葉も知らなかった。

私は1994年に当社に入社し、半導体知的財産部に配属されました。以来26年間、社名や部署名の変遷はありましたが、一貫してメモリ製品の知財業務に携わってきました。
でも実は、知財業務ひとすじの道を進むとは、想像もしていませんでした。就職活動では普通にエンジニアを志望していて、技術者の方をOB訪問する機会がありました。その時に、たまたま同じOBの一人として知財部門の方が同席され、初めて「知財」という言葉を知りました。私は数学や物理や世界史も好きだったので、『理系と文系を橋渡しする仕事』という話を聞いて興味を持ち、それがきっかけで知財業務志望にシフトしたのです。
入社後は、技術者の発明を特許出願して権利化するグループに所属し、先輩がたの指導のもと、イチから業務を学んでいきました。ただ正直なところ、知財に固執する気持ちはなく、『いずれ技術職に移ってもいいかな』くらいに思っていました。ところが入社5年目、最初のジョブローテーションで係争グループに異動になって、そこから知財の仕事にのめり込むようになったのです。以後、毎年の面談では『現職で専門性を究めたい』と希望して認めていただき、現在に至るまで係争グループの仕事を続けています。

アメリカに1ヶ月ほど滞在して
陪審裁判に臨み、当社有利の評決を勝ち取る。

知財の係争グループは文字どおり、知的財産に係わる争いごとに対応する部署です。具体的には、他社からの特許権利行使を受けたり反対に他社に当社特許を権利行使したり、相手方と交渉して解決を図る取り組みです。当事者間では解決できず、訴訟に持ち込む/持ち込まれるというケースも出てきます。
特にキオクシアは、フラッシュメモリで世界トップクラスのシェアを占めており、グローバル市場への影響力を有するため、攻撃を受けやすい立場にあります。私が最も印象に残っているのは、アメリカの大手パテント・トロールとの案件です。賠償金の取得を目的に、他から特許を買い取って訴訟を起こす「特許訴訟攻撃のプロ」との戦いで、この時は、陪審員による審理まで進みました。一般人である陪審員の方にいかに私たちの正当性を認めてもらうか、日米間を何度も往来のうえ長期に渡り準備を重ねました。トライアルには当社主要関係者と1ヶ月ほど現地に滞在し、アメリカの弁護士や当社の現地法人スタッフと協議を重ね、綿密に作戦を組み立てた結果、当社勝利といえる評決をフラッシュメモリ製品について勝ち取ることができました。

メモリの技術革新は目覚ましいため、競合の動きを含めて最新の情報を追いかける必要があります。係争の場も、以前は韓国やヨーロッパ、近年はアメリカ、最近は台湾、次は中国といったように移り変わるので、国や州によって異なる法制や文化の勉強が欠かせません。材料やプロセス、回路やデバイス、判例や特許出願の傾向など、求められる専門知識も多岐にわたります。交渉や訴訟では、相手の出方・考え方を見極めながら、こちらのロジックを組み立て、口頭や書類で的確に訴求する力が重要です。
それほど奥が深く幅が広く、変化に富んでいるので、興味が尽きません。だから私は自然にどこまでも究めていきたいと目指すようになり、この仕事に打ち込んできたのです。

管理職になるというキャリアも、
自分では想定していなかった。

私は2017年に、知財係争部門のグループ長になりました。自分では専門職のプレイヤーとして進み続けようと思っていて、管理職のマネージャーになる道は想定していませんでした。ただ、会社から話があった時に、『折角の機会なので、挑戦してみるのもいいかな。視野が広がって、また新しい世界が開けるかもしれない』と感じて、やってみようと決めたのです。
実際、思っていた以上の収穫がありました。いちばんの変化は、それまではプレイヤーで、自分の仕事を中心に考えていれば良かったのが、メンバー一人ひとりの仕事に重きを置くようになったこと。現在、15名のメンバーを率いていますが、自分がそうだったように、係争の仕事をずっと面白いと感じて長く活躍してほしい。そのために、経験やスキルに応じて、どの案件をアサインするか、どこまで任せるか、どんな時にフォローするか…個々の成長をサポートするのがマネージャーの重要な役割だと気づいたからです。管理職という立場が意識の変化を生み、私自身もひとまわり大きくしてくれたと実感しています。

働き方への考え方も変わりました。以前は仕事が優先と思っていましたが、メンバーには育児休暇から復職したワーキングマザーや父親として育児を頑張っている育メンもいます。多様な人が多様に働ける環境を整えるのもマネージャーの役割だと考えており、ひとつの案件を複数で担当する体制を採用しています。誰かが休まざるを得ない場合でも、補完しあうことで、お互いに安心して働き・休めるようにしました。
そうそう、グループ長の私が遅くまで残っていたら、メンバーは気を遣うでしょう。毎週木曜日が趣味の弓道のお稽古日なので、この日は定時に退社するようにし、率先して働きやすい職場づくりを心がけています。

掲載日/2021年1月 ※所属・役職・仕事内容は掲載当時のものです。

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